【サッカー練習メニュー】スペインのユーストップリーグで学んだ4つのポイント
プロになるにはどんなサッカーの練習メニューをすればいい?
サッカーの練習メニューのアイデアがほしい……
毎日同じサッカーの練習メニューをこなすだけでは、飽きがくるし上達にもつながりません。
とはいえ毎回異なるサッカーの練習メニューを考えるのも大変ですよね。
できればプロサッカー選手の育成につながるような、効果的な練習をしたいもの。
筆者はホペイロになるためスペインへ単身渡西し、実際にバルセロナのサッカークラブに所属して毎日スペインサッカーの練習を見てきました。
バルセロナのサッカークラブでの1週間の練習スケジュール
- 月曜日→Juvenil(U-19)チーム
- 火曜日→Infantil(U-14)チーム
- 水曜日→Juvenilチーム
- 木曜日→Juvenilチーム、Infantilチーム
- 金曜日→Juvenilチーム、Infantilチーム
- 土曜日、日曜日→試合
毎日スペイン人監督やコーチが考える練習メニューを見ていると、どのメニューにも共通点があることがわかりました。
そこで本記事ではサッカー練習メニューのアイデアが欲しい方向けに、スペインサッカーの練習を毎日見た筆者が気づいた4つの特徴を紹介します。
本記事の内容
- スペインサッカー練習メニューの特徴①選手同士で競わせる
- スペインサッカー練習メニューの特徴②タッチ数の制限を課す
- スペインサッカー練習メニューの特徴③スピード感やリズムを大事にする
- スペインサッカー練習メニューの特徴④各メニューの目的や意味を共有する
本記事の信頼性
ほぺまゆ
- スペイン在住8年目
- バルセロナのサッカーチームでホペイロ
- スペインのユーストップリーグのチームに所属
- 累計120万人以上に読まれているブログを運営
- 辰巳出版『旅の賢人たちがつくったスペイン旅行最強ナビ』共著
スペインサッカー練習メニューの特徴①選手同士で競わせる
スペインサッカーの練習ではいつも個人同士で競わせたり、チーム間で競わせたりするメニューが多く見られます。
何事にも熱くなり、勝負事では常に真剣になるスペイン人の特徴を生かした練習といえるのかもしれません。
練習用具の片づけを賭けただけで、めちゃくちゃ必死な彼ら
選手同士で競わせるメリット
- プレーや動きのスピードが速くなる
- 集中力が上がる
- 勝つために頭を使ってプレーする
練習メニュー例:ステップ練習(アジリティトレーニング)で競争
練習開始早々のウォーミングアップで、まずは軽くグラウンドをジョギングしてからステップ練習をします。
ステップ練習(アジリティトレーニング)で使う用具の例
- はしご状のラダー
- ミニハードル
- マーカーコーン
ステップ練習では必ず2つの列をつくり、隣の人とスピードを競わせます。
ただのウォーミングアップと考えるのではなく、勝負事にすることでアジリティの強化につながり◎。
勝負の内容は関係なく、みんな必死に戦っています
練習メニュー例:ゲーム形式のロンドのボール回し
スペインサッカーの練習メニューでは必ず4対1や8対2のロンドのボール回しがおこなわれます。
日本では鳥かごとも呼ばれます
ロンド練習でも小さな枠組みで勝負するメニューになっているのがポイント。
中にいる選手がボールを奪えない状況が長く続くと、パスの回数によって腕立て伏せ等の罰があたえられます。(その間もロンドは続行)
選手全員を3チームに分けて、ロンドでボールを奪うまでの時間を競うことも。
練習メニュー例:ミニゲームで得点をカウント
サッカーの練習メニューの最後はミニゲームをすることが多いですが、ミニゲームでももちろん本気で勝負します。
得点をカウントして、どちらが勝っているか必ずはっきりさせます。
結果が均衡している状態でミニゲームが終わる時間のカウントが始まると、自然と
勝つためにはこのプレーで必ず決めなければいけない
という状況が作られます。
これにより試合終了直前の時間の使い方(パワープレーでゴールまで持っていく、大事な場面での決定力)が養われるのです。
スペインサッカー練習メニューの特徴②タッチ数の制限を課す
スペインサッカーの練習では、ボールを扱うときのタッチ数にもこだわります。
ティキタカのプレースタイルが確立される基礎練習ともいえますね。
練習中にタッチ数の制限を課すのは、10歳の選手だろうが18歳の選手だろうが年齢は関係ありません。
小学生の段階からワンタッチプレーの練習を積みます
タッチ数の制限を課すメリット
- ファーストタッチの質が上がる
- プレーのスピードが速くなる
- 事前にパスの出しどころを見極める
タッチ数の制限は常に2タッチ以内もしくは1タッチのみが基本ルールです。
1人がだらだらとボールを長く持つようなプレーはあまり見られません。
タッチ制限を課す練習メニューの例
- ロンド練習(ボール回し、鳥かご)
- ミニゲーム
スペインではミニゲームでもタッチ数の制限を取り入れています。
例えば中でプレーしている選手は2タッチまで、外野にいる選手は1タッチのみ。
側からみると一見普通のミニゲームなので、注意して見ないと気づかないくらいでした。
実際にイニエスタ選手のロンドの様子を見ると一目瞭然。
ヴィッセル神戸控え組の試合前ウォーミングアップ。
— Kenta Hamabe (@KentaHamabe) July 22, 2018
イニエスタ選手の登場により控え組のロンドが先発組よりも注目される事態に(笑)
ハーフタイムのアップには出てきてないですが、後半の出場に期待! pic.twitter.com/gXZ3oefpaI
他の日本人選手は2タッチになっている中、イニエスタ選手は常に1タッチで返しています。
スペインサッカー練習メニューの特徴③スピード感やリズムを大事にする
スペインでサッカーを見ていて思うのは、プレーのスピードが速いということ。
ボール回しや複数チームによるゲーム形式の練習などでは、常にスピード感を高く保つことが求められます。
スピード感やリズムを大事にするメリット
- スピード感のあるサッカーが作られる
- 集中力をキープできる
プレー中にボール拾いはしない
クリアしたボールが遠くにいった場合もすぐにコーチから新しいボールが供給され、新たなプレーが開始。
プレー中も常にコーチから
リズムを大事にしろ!
という声が飛びます。
練習途中でボールを取りにいくことはしません。
練習メニューが終わるときや供給ボールがなくなったときに、一旦練習を止めて遠くに散らばったボールを集めます。
タッチ数の制限とかけ合わせて、練習のうちからスピード感のあるサッカーを作り上げているのです。
水分補給は別途時間を取る
メニューをこなしているときは常に練習に集中し、水を飲む休憩時間は別に時間を設けます。
みんなが同じタイミングで水分補給をすることで選手同士の会話も生まれて、
あの場面では自分がカバーに行ったほうがよかった
さっきのパスは逆サイドに振ったほうがシュートまでいけたよ
という意見のすり合わせをすることができます。
スペインサッカー練習メニューの特徴④各メニューの目的や意味を共有する
スペインサッカーでは練習メニューが切り替わるたびに、監督から次の練習内容の説明がされます。
練習メニューを説明するときは必ず、
この練習内容の目的は……
何を意味しているのかというと……
といったように、練習メニューの目的を必ず共有し、何を意識しなければいけないのかを確認します。
小・中学生に対しても同様に説明します
各メニューの目的や意味を共有するメリット
- 練習の質が上がる
- 監督が求めている戦術を理解する
- 練習内容を試合で活かせる
監督が求める戦術を選手に理解させて落とし込む
練習メニューのこなし方の比較例:
- ただやみくもに3対3の練習をする
- ボールがAにあってサイドを突破しながら最終的に相手の背後を狙う3対3の練習をする
両者では、大きく質が変わってきますよね。
試合のどんな場面で実際に生かされるのか、練習と試合の内容を繋ぎ合わせる役割を担っています。
そして監督が求めている戦術を理解する時間にもなります。
スペインでは監督の求める動きをできることが大事です
幼少期から戦術を理解させるトレーニングをする
*スペインの4〜6歳の子どもたちはすでに戦術を持ったサッカーをしている
— ほぺまゆ@バルセロナ🇪🇸 (@Jope_Mayu) April 15, 2018
お団子サッカーとは無縁。
各自が役割をわかってて、ポジションをとったり離れてボールを待ったりしてた。
コーチに「みんな戦術とかわかってるの?」と聞くと「当たり前だ!」と言ってた。
(上手いこと写真撮れず🙏) pic.twitter.com/S9kP6raqCl
プロサッカー選手でも戦術を伝えてくれないと分からないのに、育成年代になると戦術や意識を統一させるのは非常に大変。
その上ユーストップリーグのチームとなると、戦術をビデオ等で確認し実践できなければ練習についていくことができません。
だからこそしっかりとした指示、練習内容の解説が大事になってきます。
つまるところスペインサッカーは頭の良さも大事
そのためスペインサッカーでは、練習中に監督が座ってじっと見守るということはめったにありません。
常に声を出して指示をし、細かく説明しています。
そして良かったプレーには全力で褒め、悪かったプレーにはきつい言葉を投げかけます。
静かな練習とは無縁なのです。
まとめ:スペインサッカーの練習メニューは目的を意識したスピード感が大事
スペインサッカーの練習メニューの特徴を4つ解説しました。
- 選手同士で競わせる
- タッチ数の制限を課す
- スピード感やリズムを大事にする
- 各メニューの目的や意味を共有する
スペインサッカーの練習では、要点を抑えながらスピード感のあるプレーを意識しています。
勝負をさせる状況を自然と作り出し、負けず嫌いな選手たちの性格を生かして温度感の高いプレーをさせるのです。
毎週末の試合に向けて、きちんと試合でのプレーを意識した練習を平日にこなす。
スペインの質の高いパスサッカーは、徹底した練習があってこそ出来上がっていました。
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スペインサッカーの特徴やゲームモデルをあなたのチームでも取り入れられるかもしれませんよ。
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Muchas gracias por leer♡